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森博嗣『まどろみ消去』読了【短編集】

あらすじ

大学のミステリィ研究会が「ミステリィツアー」を企画した。参加者は、屋上で踊る30人のインディアンを目撃する。現場に行ってみると、そこには誰もいなかった。屋上への出入り口に立てられた見張りは、何も見なかったと証言するが……。(「誰もいなくなった」)ほか美しく洗練され、時に冷徹な11の短編集。

出典元:http://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000198764

 

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目次

虚空の黙祷者 Silent Prayer in Empty
純白の女 The Lilies of Her Cheeks
彼女の迷宮 She is Lost in Mysteries
真夜中の悲鳴 Acoustic Emission
やさしい恋人へ僕から To My Lovely
ミステリィ対戦の前夜 Just Before the Battle for Mysteries
誰もいなくなった Thirty Little Indians
何をするためにきたのか The Identity Crisis
悩める刑事 A Detective in Distress
心の法則 Constitutive Law of Emotion
キシマ先生の静かな生活 The Silent World of Dr. Kishima

 

感想

森先生の短編集を読むのこれが初めてだったのだけれど、長編の作品比べると面白くなかった。当然といえば当然かな。話が短いのだから。森作品は登場人物が魅力的なことが1番のウリだと思っているのだけど、短編だとどうしてもキャラクターの個性が薄くなってしまい、森作品らしいと思える短編が少なかったように思う。どの短編もオチは面白かったけれど、オチが面白いだけなら他の作家が書く短編でも良い。

目当てだったS&Mシリーズの作品は2作収録されていたのだけれど、特に『誰もいなくなった』は面白かった。萌絵が問題を解決する側ではなく、問題を定義する側だったのが新鮮だった。犀川助教授は相変わらず魅力的。この短編を読むことができただけでも本作を読んだ甲斐があった。もう二度と読み返さないだろうと思うけれど。

その他なら『やさしい恋人へ僕から』が好きだった。下記に書いたお気に入りの一文の半数はこの短編のだったと思う。主人公目線で話しかけるように語られる展開も面白かった。『キシマ先生の静かな生活』もよかった。やっぱり森作品は恋愛要素が強ければ強いほど面白くなるのだと再確認。

 

お気に入りの一文